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偏光変換素子(PolarizationConvertingSystem)

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[偏光変換素子]

光は電磁波の一種であり、特定の振動方向を持った光は偏光と呼ばれます。特に光軸を含む平面内で振動する直線偏光は、その振動方向によりP,S偏光と呼ばれ、異なる性質を呈します。
一般的な光源(白熱灯や水銀ランプ等)から出射する光は非偏光であり、P偏光成分とS偏光成分が同じ割合で存在します。しかし、光学機器にはP偏光、S偏光の一方のみしか使用しないものがあり、偏光板等により一方の偏光を選択すると光量が約半分になってしまいます。
偏光変換素子は、非偏光光源から出射する光をP偏光もしくはS偏光に変換する光学素子であり、偏光を利用する光学機器における光利用効率の向上に広く適用されております。

PCSの原理

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左の図は、非偏光をP偏光に変換する例です。入射した非偏光は、偏光分離膜にてP偏光のみが透過し、S偏光は反射されます。反射したS偏光は反射膜により
再び進路を90°曲げられた後、位相差板(1/2波長板)によってP偏光に変換されます。こうして、2光路に分離された光はいずれもP偏光になります。
なお、位相差板を透過光路(入射光軸)上に変更することにより、非偏光をS偏光に変換することも可能です。

液晶プロジェクタ光学系における適用例

液晶プロジェクタに搭載されるPCSには、上記のユニットを複数並べたアレイ状のプリズムが、1対のフライアイレンズと組合せて使用されます。PCSは、ひとつの入射に対して透過光路と反射光路の2つの出力を持つため、アレイ状のPCSを使用する場合には一列ごとに光を入射する必要があります。

そこで液晶プロジェクタ光学系では、ランプから出射された光束を1stフライアイにより分割し、セル毎に光束を絞ってから2ndフライアイを通過させ、PCSに入射します。したがって、一般的にフライアイのセル幅は偏光変換素子のピッチ幅の2倍に相当するように設計されます。
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フライアイ:レンズを複数枚使用し、蝿の目のように縦横マトリクス状に配列したレンズ体。

一般的なアレイ状PCSの加工工程(概要)

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